ヒキコモリ読書録

ヒキコモリ読書録

本とか映画とか、感じたこと。

『王国 その1、その2』の読書記録

こんにちは、ふしぎちゃんこにゃべです。

 

『王国 その1アンドロメダ・ハイツ』(よしもとばなな/新潮社)

『王国 その2痛み、うしなわれたものの影、そして魔法』(よしもとばなな/新潮社)という本を読みましたので、その記録を。 

 

要約は難しいのだけれど、

「たとえ悲しい出来事が起こったとしても、

自分にとって大切なことを忘れずに生きていくことが大事なんだよ」

っていうことが全体的なメッセージだと思う。 

 

よしもとばななさんを読むといつも思うことは、

読むと何となく心が洗われた気分になることと、

はたから見ると不幸な設定なのにすごく幸福を感じること、

あと、これはどういう話なのかというのを一言で表現しづらいこと。

 

それはひとえに私の語彙力がないからなのだけれど、

ビジネス書みたいにかいつまんで理解できるものではなく、

全部読んで、感じることだから、

枠にあてはめて考えることをしないでねっていうよしもとばななさんからの

メッセージなのかなあ。

 

 

目次 

 

あらすじ

あるとき、主人公雫石が住んでいた山を奪われ、育ての親であるおばあちゃんとも離れる。町での暮らしを余儀なくされるも、超能力者の楓やそのパートナーの片岡、不倫関係を結ぶようになるサボテンの専門家・野林真一郎などとの孤独をそれぞれに抱えた登場人物たちと静かなかかわりを深めていく。

 

響いた言葉

 

一番私がぐっときた文章は下のおばあちゃんの言葉です。

 

「ああいう人は型に飲まれてしまっているから、自分だけの秘密を持たなくてはいけない」とよく言っていた。それが変態趣味でも、畑仕事でも、家族に熱心になるのでもなんでもいいから、自分だけの生活か時間を持たないと、依存しているうちに型に飲み込まれ、取り返しがつかないところまで行ってしまう、とよく言っていた。

(中略)スーツの人たちにも型があるが、あまりにも大勢で行動しているために、型と自分が同じになってしまう可能性があるそうだ。

(中略)本人と一致していないものだから、いつのまにか本人を蝕んで心か体の病気を引き起こすことさえあるようなのだ。

(『王国 その2』よしもとばなな、新潮社、p66)

 

これまさしく私のことじゃん!ってなりましたね。

ぐさっと刺さる言葉であるのと同時に、

とても救いになる言葉でもあります。

 

実は私も合わない仕事をしてしまって、体調を悪くしてしまったところだったので、

この言葉はかなり痛かった。

本当の自分をひた隠し(漏れていたと思いますが…)、

笑顔を取り繕って仕事をしているうちに体がおかしくなってしまったのか、

腹痛や吐き気が収まらない、涙が止まらないといったことが起こりました。

 

でも今は合わないことをやめ、

自分が本当にしたいと思うことへ力を注ぐようになりました。

 

仕事がつらくてしかたがない人にこそ読んでほしい小説だと思います。

 

 

 もう一つ、響いた言葉があります。

これもおばあちゃんの言葉で、

主人公・雫石が悩んでいることへの返答メールの中での言葉。

 

(前略)私はどこにいても同じだし、だからどこにも行けない、そしてさらに同じ理由でどこにでも行けるともいえるというのが真実だと。

(中略)人間がどれほど弱いものかは、私も身にしみて知っているし、誰でも一度はおかしなタイミングのせいで、何かにそういうふうに頼ります。楽しみの域を超えて、頼ってしまうのです。楽しみのために存在するものに、楽しまれてしまっては、それはもう何ものかの奴隷になっているということです。でも、それはきっとよくあることです。 

(中略)まず、自分がその新しい環境をもてあまし、退屈して、淋しがっていることを認めることです。

(『王国 その2』よしもとばなな、新潮社、p71-73)

 

これ、またまた私のことじゃん!!

TwitterとかインスタとかのSNS病むほど見ちゃうし、

気づいたらYouTubeずっと見てもいないのに流したりして、

それだけで一日が終わるともう死にたくなったりして。

 

自分ごととしてめっちゃ刺さった。

たしかに、お腹がすいているわけでもないのにチョコレートとかめっちゃ食べちゃって、夕飯をぜんぜん楽しめなかったり、

本読もうとして、でもその前にTwitter開けたら気づいたら30分たってたり。

 

今の自分を認めることから逃げて、

日々やることをおろそかにしてそういうことばかりしちゃってるから、

どんどん心におりのようなものが積もっていくんだろうな。

 

 

 

まとめ

 

『王国』シリーズは、とても心洗われる作品。

日々につかれているとき、自分を見失っているとき、

また読みたいと思った。